◆令和5年12月2日(土)梟の会の参加者の一句◆
包丁の切れ味悪し風邪心地
青木あき子
先触れの風ひとつなく木の葉雨
佐野すずめ
テーブルの木目の粗き雪もよひ
稲畑実可子
秋薔薇の色の深きに見入りけり
(秋薔薇に色の深きを教へられ)
北村季凛
訳もなく頭下げたりそぞろ寒
田中優美子
冬の月家族の眠る家静か
宮内百花
けふことに稜線近し冬菜畑
松枝真理子
着ぶくれの肩ぶつけあひ蕎麦啜る
井出野浩貴
客観写生にそれぞれの個性を
◆令和5年12月2日(土)梟の会の参加者の一句◆
包丁の切れ味悪し風邪心地
青木あき子
先触れの風ひとつなく木の葉雨
佐野すずめ
テーブルの木目の粗き雪もよひ
稲畑実可子
秋薔薇の色の深きに見入りけり
(秋薔薇に色の深きを教へられ)
北村季凛
訳もなく頭下げたりそぞろ寒
田中優美子
冬の月家族の眠る家静か
宮内百花
けふことに稜線近し冬菜畑
松枝真理子
着ぶくれの肩ぶつけあひ蕎麦啜る
井出野浩貴
◆令和5年11月11日(土)梟の会の参加者の一句◆
鳰潜り水の輪岸に届きけり
(鳰潜り水の輪岸に届きたり)
青木あき子
走り根に沿ひて湧きたる茸かな
佐野すずめ
夜空へと消えゆくけむり秋深し
(夜景へと消えゆくけむり秋の夜)
稲畑実可子
枝豆や七回裏で帰らうか
北村季凛
秋の日が美しすぎて大嫌ひ
田中優美子
黒胡麻をたつぷりかけぬ冬はじめ
(黒胡麻をたつぷりかけて冬に入る)
宮内百花
冬隣礼拝堂の椅子かたき
松枝真理子
うそ寒や見てもわからぬ心電図
井出野浩貴
◆令和5年10月7日(土)梟の会の参加者の一句◆
落日や鶏頭の襞いよよ濃く
佐野すずめ
助手席に叔父ねむらしめ蕎麦の花
(助手席に叔父ねむりをり蕎麦の花)
稲畑実可子
種を採る旧姓遠くなりにけり
(旧姓の遠くなりけり種を取る)
北村季凛
秋の雲学生時代遠くなり
田中優美子
曼珠沙華棚田一枚際立ちぬ
(曼珠沙華棚田の段差際立たせ)
宮内百花
日あたれば歌い出しさう紅芙蓉
松枝真理子
古き墓片寄せられて草の花
井出野浩貴
◆令和5年9月2日(土)梟の会の参加者の一句◆
墓洗ふほんたうに父逝つたのか
北村季凛
鴫群るる満ちはじめたる潮のきは
佐野すずめ
つぎつぎに家電こはるる残暑かな
(一斉に家電こはるる残暑かな)
稲畑実可子
みんみんのやけくそみんみんみんみんみん
(みんみんのやけくそに鳴くみんみんと)
田中優美子
翼あらば秋天へ子の旅立たむ
(翼あらば秋の空へと子は消えむ)
宮内百花
ゆつくりと雲流れけり涼新た
松枝真理子
赤坂に三つ編み少女涼新た
井出野浩貴
◆令和5年8月5日(土)梟の会の参加者の一句◆
夏木立透くる光の仄蒼し
佐野すずめ
遠く住む母に泣き言夏の風邪
(遠方の母に泣き言夏の風邪)
稲畑実可子
夏見舞お薦めの本書き合ひて
(夏見舞お薦め本を書き合ひて)
北村季凛
働いて帰る家あり夏の月
田中優美子
被爆樹のはつかに揺れて晩夏光
(被爆樹のそつと揺れたり晩夏光)
宮内百花
ライオンの檻の静もり旱星
松枝真理子
惑ひなき齢なからむ青葡萄
井出野浩貴
◆令和5年7月1日(土)梟の会の参加者の一句◆
あじさゐの中の地蔵のつむりかな
佐野すずめ
花街の名残のやうに桐の花
(花街の名残りありけり桐の花)
稲畑実可子
桜の実夫婦となりてはや十年
(桜の実夫婦は十年経つてより)
北村季凛
宇宙ごと閉ぢ込めし色濃紫陽花
田中優美子
てきぱきと持ち場に分かれキャンプ張る
(てきぱきと持ち場に分かれテント張り)
宮内百花
佇めば街騒遠し花樗
松枝真理子
好き嫌ひ言うてはをれず燕の子
井出野浩貴
◆令和5年6月3日(土)梟の会の参加者の一句◆
行々子空に機影の絶えざりき
佐野すずめ
レッスンの帰りは気楽桐の花
稲畑実可子
春時雨遺影の父の機嫌良き
北村季凛
(春時雨遺影の父の機嫌良し)
訳もなく喧嘩せし頃心太
田中優美子
父の日の枕カバーを縫ふ子かな
宮内百花
下町を縫ひゆく電車夕薄暑
松枝真理子
夏つばめ旺ん温泉街閑散
井出野浩貴
◆令和5年5月6日(土)梟の会の参加者の一句◆
土踏まずもて大干潟掴みけり
佐野すずめ
右中間好捕球せり草若葉
板垣源蔵
忘れ物とどけに行くや花海棠
稲畑実可子
妹とたんぽぽ百まで数へけり
(妹と百のたんぽぽ数へた日)
北村季凛
袖通すことなき形見昭和の日
田中優美子
かの競泳選手がコーチ夏来る
(元競泳選手のコーチ夏来る)
宮内百花
声張りて一日車掌子供の日
松枝真理子
荒川の風に吹かれて荷風の忌
井出野浩貴