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◆令和6年4月6日(土)梟の会の参加者の一句◆

船室の眠りの深し春の波
佐野すずめ

春の夜や女車掌の声若く
布川礼美

釣人の腰まで浸かる遅日かな
青木あき子

東京に我まぎれゆく桜かな
稲畑実可子

春の夜や流れて止まるペンの音
杉谷香奈子

うさぎの眼くるくる動き水温む
松枝真理子

夜桜や水のおもてのほのあかり
井出野浩貴

◆令和6年3月16日(土)梟の会の参加者の一句◆

春泥に嘴くぐらせてくぐらせて
佐野すずめ

下萌やキーパー鳩と歩きをる
布川礼美

白木蓮夢摑まむと開き初む
青木あき子

帰任日を母に伝へて雛納
稲畑実可子

かたたごの花いつ咲くのいつ咲くの
田中優美子

釣糸を垂らしひねもす豆の花
松枝真理子

下萌やふつと尽きたる引込線
井出野浩貴

◆令和6年2月3日(土)梟の会の参加者の一句◆

傷痕の硬き冬木の膚かな
佐野すずめ

着ぶくれてヨガ教室に来てをりぬ
布川礼美

寒鴉己の声を確かむる
青木あき子

どんど火や額の焼けぬところまで
(どんど火へ額の焼けぬところまで)
稲畑実可子

終電に着ぶくれ同士乗り合はす
田中優美子

晒されし寒天朝日に煌めけり
松枝真理子

菜の花や入日に消ゆる漁舟
井出野浩貴

◆令和6年1月6日(土)梟の会の参加者の一句◆

弾初や半音階を駆けのぼり
青木あき子

散るさまも競ひ双子の大銀杏
佐野すずめ

初稽古掛け声合はせ並びけり
布川礼美

お台場を縫ふモノレール冬夕焼
稲畑実可子

ふるさとを此処と定めむ初景色
田中優美子

ふれ合はず離れずひと日浮寝鳥
松枝真理子

船宿の賑はひも絶えゆりかもめ
井出野浩貴

◆令和5年12月2日(土)梟の会の参加者の一句◆

包丁の切れ味悪し風邪心地
青木あき子

先触れの風ひとつなく木の葉雨
佐野すずめ

テーブルの木目の粗き雪もよひ
稲畑実可子

秋薔薇の色の深きに見入りけり
(秋薔薇に色の深きを教へられ)
北村季凛

訳もなく頭下げたりそぞろ寒
田中優美子

冬の月家族の眠る家静か
宮内百花

けふことに稜線近し冬菜畑
松枝真理子

着ぶくれの肩ぶつけあひ蕎麦啜る
井出野浩貴

◆令和5年11月11日(土)梟の会の参加者の一句◆

鳰潜り水の輪岸に届きけり
(鳰潜り水の輪岸に届きたり)
青木あき子

走り根に沿ひて湧きたる茸かな
佐野すずめ

夜空へと消えゆくけむり秋深し
(夜景へと消えゆくけむり秋の夜)
稲畑実可子

枝豆や七回裏で帰らうか
北村季凛

秋の日が美しすぎて大嫌ひ
田中優美子

黒胡麻をたつぷりかけぬ冬はじめ
(黒胡麻をたつぷりかけて冬に入る)
宮内百花

冬隣礼拝堂の椅子かたき
松枝真理子

うそ寒や見てもわからぬ心電図
井出野浩貴

◆令和5年10月7日(土)梟の会の参加者の一句◆

落日や鶏頭の襞いよよ濃く
佐野すずめ

助手席に叔父ねむらしめ蕎麦の花
(助手席に叔父ねむりをり蕎麦の花)
稲畑実可子

種を採る旧姓遠くなりにけり
(旧姓の遠くなりけり種を取る)
北村季凛

秋の雲学生時代遠くなり
田中優美子

曼珠沙華棚田一枚際立ちぬ
(曼珠沙華棚田の段差際立たせ
宮内百花

日あたれば歌い出しさう紅芙蓉
松枝真理子

古き墓片寄せられて草の花
井出野浩貴

◆令和5年9月2日(土)梟の会の参加者の一句◆

墓洗ふほんたうに父逝つたのか
北村季凛

鴫群るる満ちはじめたる潮のきは
佐野すずめ

つぎつぎに家電こはるる残暑かな
(一斉に家電こはるる残暑かな)
稲畑実可子

みんみんのやけくそみんみんみんみんみん
(みんみんのやけくそに鳴くみんみんと)
田中優美子

翼あらば秋天へ子の旅立たむ
(翼あらば秋の空へと子は消えむ
宮内百花

ゆつくりと雲流れけり涼新た
松枝真理子

赤坂に三つ編み少女涼新た
井出野浩貴

◆令和5年8月5日(土)梟の会の参加者の一句◆

夏木立透くる光の仄蒼し
佐野すずめ

遠く住む母に泣き言夏の風邪
(遠方の母に泣き言夏の風邪)
稲畑実可子

夏見舞お薦めの本書き合ひて
(夏見舞お薦め本を書き合ひて)
北村季凛

働いて帰る家あり夏の月
田中優美子

被爆樹のはつかに揺れて晩夏光
(被爆樹のそつと揺れたり晩夏光
宮内百花

ライオンの檻の静もり旱星
松枝真理子

惑ひなき齢なからむ青葡萄
井出野浩貴

◆令和5年7月1日(土)梟の会の参加者の一句◆

あじさゐの中の地蔵のつむりかな
佐野すずめ

花街の名残のやうに桐の花
(花街の名残りありけり桐の花)
稲畑実可子

桜の実夫婦となりてはや十年
(桜の実夫婦は十年経つてより)
北村季凛

宇宙ごと閉ぢ込めし色濃紫陽花
田中優美子

てきぱきと持ち場に分かれキャンプ張る
てきぱきと持ち場に分かれテント張り)
宮内百花

佇めば街騒遠し花樗
松枝真理子

好き嫌ひ言うてはをれず燕の子
井出野浩貴