猛暑なり生きてゐるさへ摩訶不思議 吉田 あや子
今年の暑さは記録にない激しさだ、など最近毎年のように言われているような気がする。作者にとってもそれは同様であったのだろう。よくこんな暑さに耐えられるものだ、と自分でも信じられない程なのだ。下五の「摩訶不思議」には作者のゆとりさえ感じられる。
「知音 平成30年11月号 紅茶の後で」より
客観写生にそれぞれの個性を
今年の暑さは記録にない激しさだ、など最近毎年のように言われているような気がする。作者にとってもそれは同様であったのだろう。よくこんな暑さに耐えられるものだ、と自分でも信じられない程なのだ。下五の「摩訶不思議」には作者のゆとりさえ感じられる。
「知音 平成30年11月号 紅茶の後で」より
地質年代で中生代はジュラ紀から白亜紀に続く。今から1億年以上昔のことである。この句は博物館での一句だろう。白亜紀のものを展示した部屋から、ジュラ紀の部屋に冷房の効いた空間を通り抜けて行った、ということ。何千万年をあっと言う間に通り抜ける、というおもしろさ。
「知音 平成30年11月号 紅茶の後で」より
ミッドタウンは最近開発された大型の都市。そのミッドタウンの建造物を蹴り上げるような勢いで子供が逆立ちをしたのだ。もちろん近くの公園の芝生の上である。省略がきわめて大胆な句である。
「知音 平成30年11月号 紅茶の後で」より
町まで出てゆけばスーパーもあるのだが、散歩のついでに寄る何でも屋が気に入っている。店先のバケツに盆花も活けてある。店番のおじさんも歳をとった。あちらも私をそう思っているだろう。毎夏やってきてもう20年になる。
(句集 『自由切符』(2018年5月刊行 ふらんす堂)より)
見ようとするからものは見えてくる。実際には網膜に映っていても認めないことが多いのである。昭和59年作
(自註現代俳句シリーズ・11期5 行方克巳集 社団法人俳人協会より)
『系譜 句集』角川書店・現代俳句叢書 1985
『愛日抄』 1961
『自由切符』ふらんす堂 2018
『地球ひとつぶ』ふらんす堂 2011
『心音』角川俳句叢書 2006