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◆令和6年6月1日(土)梟の会の参加者の一句◆

更衣母のおさがり誉めらるる
青木あき子

初夏やまだ仕切なき子供部屋
稲畑実可子

大輪の薔薇みづからを支へかね
佐野すずめ

登校の一団ばらけ葱坊主
布川礼美

今少し独りの時を桐の花
杉谷香奈子

廃校のうはさの絶えず花うつぎ
松枝真理子

直売の看板朽ちし青葉かな
井出野浩貴

◆令和6年8月3日(土)梟の会の参加者の一句◆

雨粒の頰に当りて夏祭
青木あき子

サコッシュに旅のしをりや夏燕
稲畑実可子

大花火果てて灯台光りけり
佐野すずめ

別れとは思はざりしを髪洗ふ
杉谷香奈子

乳飲子の顔見せにくる祭かな
布川礼美

朝涼やお巡りさんに手を振る子
松枝真理子

おこぼれの団扇の風をありがたく
井出野浩貴

◆令和6年7月20日(土)梟の会の参加者の一句◆

峰雲や鏡のごとき潮溜り
青木あき子

文明の音を圧せよ蟬時雨
佐野すずめ

庭に人ゐるに驚く昼寝覚
布川礼美

ランドセル靴下夏帽子散乱
稲畑実可子

夕立や百万都市の交差点
杉谷香奈子

合歓の花少年何でも知りたがる
松枝真理子

物売りの声よみがへり夕立あと
井出野浩貴

◆令和6年9月7日(土)梟の会の参加者の一句◆

露草や網を投げたるやうな雲
青木あき子

片づけて庭の全景涼新た
稲畑実可子

蟷螂の鎌より翅のこぼれ落つ
佐野すずめ

絵の果実転げ落ちさう秋灯
杉谷香奈子

放屁虫腰を捻りて尿落とす
布川礼美

赤蜻蛉さだか雲居をよぎるとき
井出野浩貴

◆令和6年5月3日(金)梟の会の参加者の一句◆

だるまさんがころんだ新樹に腕当て
青木あき子

行き先を告げぬ外出つばくらめ
稲畑実可子

総身のあらはに雉ほろろ打つ
佐野すずめ

遠足の列背の順につづきをり
布川礼美

初桜一輪見つけたりし日は
杉谷香奈子

大銀杏芽吹きをめたり鬼子母神
松枝真理子

丘は風あつまるところ薔薇繚乱
井出野浩貴

◆令和6年4月6日(土)梟の会の参加者の一句◆

船室の眠りの深し春の波
佐野すずめ

春の夜や女車掌の声若く
布川礼美

釣人の腰まで浸かる遅日かな
青木あき子

東京に我まぎれゆく桜かな
稲畑実可子

春の夜や流れて止まるペンの音
杉谷香奈子

うさぎの眼くるくる動き水温む
松枝真理子

夜桜や水のおもてのほのあかり
井出野浩貴

◆令和6年3月16日(土)梟の会の参加者の一句◆

春泥に嘴くぐらせてくぐらせて
佐野すずめ

下萌やキーパー鳩と歩きをる
布川礼美

白木蓮夢摑まむと開き初む
青木あき子

帰任日を母に伝へて雛納
稲畑実可子

かたたごの花いつ咲くのいつ咲くの
田中優美子

釣糸を垂らしひねもす豆の花
松枝真理子

下萌やふつと尽きたる引込線
井出野浩貴

◆令和6年2月3日(土)梟の会の参加者の一句◆

傷痕の硬き冬木の膚かな
佐野すずめ

着ぶくれてヨガ教室に来てをりぬ
布川礼美

寒鴉己の声を確かむる
青木あき子

どんど火や額の焼けぬところまで
(どんど火へ額の焼けぬところまで)
稲畑実可子

終電に着ぶくれ同士乗り合はす
田中優美子

晒されし寒天朝日に煌めけり
松枝真理子

菜の花や入日に消ゆる漁舟
井出野浩貴

◆令和6年1月6日(土)梟の会の参加者の一句◆

弾初や半音階を駆けのぼり
青木あき子

散るさまも競ひ双子の大銀杏
佐野すずめ

初稽古掛け声合はせ並びけり
布川礼美

お台場を縫ふモノレール冬夕焼
稲畑実可子

ふるさとを此処と定めむ初景色
田中優美子

ふれ合はず離れずひと日浮寝鳥
松枝真理子

船宿の賑はひも絶えゆりかもめ
井出野浩貴

◆令和5年12月2日(土)梟の会の参加者の一句◆

包丁の切れ味悪し風邪心地
青木あき子

先触れの風ひとつなく木の葉雨
佐野すずめ

テーブルの木目の粗き雪もよひ
稲畑実可子

秋薔薇の色の深きに見入りけり
(秋薔薇に色の深きを教へられ)
北村季凛

訳もなく頭下げたりそぞろ寒
田中優美子

冬の月家族の眠る家静か
宮内百花

けふことに稜線近し冬菜畑
松枝真理子

着ぶくれの肩ぶつけあひ蕎麦啜る
井出野浩貴