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吉田林檎句集
『スカラ座』
2019/8/29刊行
ふらんす堂

◆第一句集
[よしだりんご(1971〜)
帯:行方克巳
序:西村和子
装丁:和兎
四六判並製小口折装
204頁

初仕事去年の我よりメモひとつ

机上にある自分自身のメモは、初仕事として今日しなければならぬことーー。
明日への課題を日々の心に書き止めながら、吉田林檎の進むべき一歩一歩が見えてくる。
(帯・行方克巳)

◆自選十句
この紐をどこに通すやサンドレス
眼鏡の子存外疾し運動会
コート着る着ない無理やり着せにけり
笑ふこと悲しき夜なり雪催
白魚のどれも驚愕してゐたる
手を洗ふあぶくだらだら春の昼
水中花思ひはなれしときひらく
アイスコーヒー飲み干して働くか
まな板の裏まで濡らし西瓜切る
映画館出でて銀河の底歩む

知音代表 行方克巳が、この度、第八句集「晩緑」を上梓しました。

行方克巳第八句集
『晩緑』
2019/8/1刊行
朔出版

青葉雨 死もまた一身上の都合

「知音」代表の最新句集。「晩緑」とは、「新緑」すなわち初夏の若葉の緑に対して、終わりかけの緑を表す。人生の感慨を季語に託し、軽やかに詠いあげた第八句集。

◆自選12句
遠くより呼ばれて昼寝覚めにけり
致死量に足らざる鬱や秋かはき
狡猾な眼をして鮫のひるがへる
無味無臭而して無策冴返る
泥抽いて泥の光の蘆の角
茅花流し母のことその母のこと
万華鏡の中の秋風見てゐたる
柿一つ買ひ今生の秋一つ
鰭酒に舌焼き虚実皮膜論
都鳥水の火宅もありぬべし
北風やお日さまといふよきことば
立ち枯るる男たるべし荒野(あらの)打つ

◆「あとがき」より
「慶大俳句」に参加して、清崎敏郎師や、楠本憲吉、杉本零氏等の知遇を得て、俳句にのめり込んでから、またたく間に半世紀以上の歳月が過ぎ去った。
昭和、平成そして令和を迎えた今も、「季題発想」という私の作句信条は変わることはない。
また、俳句は「何を詠まなければならないのか」ではなく、「何をどう詠めばいいのか」であるという私の気持ちもは変わらない。
この度の句集名は「新緑」に対しての「晩緑」という心である。
もし、私の作品が人の心に届きにくいとしたら、それは私の表現力が至らぬためである。心して表現力を磨くことに励みたいと思う。

御子柴明子句集
『子らのゐて』
2019/6/15刊行
ふらんす堂

第一句集
[みこしばあきこ(1945〜)
帯:西村和子
序:行方克巳
装画:御子柴徹朗
装丁:和兎
四六判フランス装カバー装
208頁

三十歳で途切れてしまった長男のアルバム。
その思い出とれからの母の思いを残したいと思い立って編まれた句集。
小児精神科医として俳句作者として喪失感と虚無感から立ち直る力を与えられたのは
新たな幼い命だった。
(帯・西村和子)

◆西村和子抄出
振り向けば雪嶺がまた別の顔
凧揚げて売りて故宮の秋日和
秋晴も秋風もガラスの向かう
屋根掴む氷柱魔王の指のごとし
冬の朝遺品の時計遅れ気味
雪片のとどまらず時とどまらず
炬燵から出よとばかりに電話鳴り
子らのゐし葡萄の粒のやうな日々
月朧ろ天上の子と酌み交はす
産み月の威風堂々嫁小春

パラソル句会合同句集
『海へ』
2019/3/19刊行
デザインエッグ(株)

パラソル句会10周年を記念して編まれた合同句集。
現会員26名、卒業生10名の計36名が参加の句集。

<巻頭>
子育ての日々は短し秋日傘
西村 和子

<会員作品>
野遊びの子は転ぶまで駆けてゆく
青木あき子

青田風一年一組をぬけて
飯干ゆかり

この先の十年いかに更衣
磯貝由佳子

巡礼の如し落葉の道ゆくは
井出野浩貴

ゐないのねこんなにさくらさいたのに
いわさき章子

子がまねて気づく口ぐせ福寿草
梅田実代

馴れ初めを聞き漏らすまじ冬籠り
大友紅蔵

校門に着くなり疲れ入学児
小澤佳代子

子の髪のなびけば春風のかたち
帯谷麗加

年の市小さき器ばかり見て
鏡味味千代

緑さす握手に力貰ひたる
笠原みわ子

春の宵花茶ゆるゆる開きゆく
加藤志帆

花火果て月をよるべの家路かな
巫 依子

卒園の朝の寝癖を直しやる
菊池美星

ほほゑんでゐるゑのころと言ひながら
黒岩徳将

ロッカーのずらり口開け春休み
國領麻美

探梅のいつしか探鳥となりぬ
小山良枝

吾子に買ふ片道切符風光る
志磨 泉

十字架は黄金比率麦の秋
島野紀子

からだごと入れてひとりの春炬燵
睡 睡

背番号叶はぬ子にも春の風
杉谷香奈子

赤蜻蛉まだ固まらぬガラスのやう
田中久美子

母を生みし里に生きよと山笑ふ
田中優美子

人の目を避けて西日を避けてキス
津野利行

老いてゆく東京タワー風信子
氷岡ひより

横断の手は真つすぐに若葉風
中川玲子

宿題は早寝早起き運動会
布川礼美

言ひ分に一理ありけり巣立鳥
乗松明美

いつもの席いつものコーヒー春深し
塙 千晴

なぜか夜なきはじめたり秋の蟬
林奈津子

美学とは無駄多きこと秋闌くる
藤田銀子

しぐるるや捜査本部の午前四時
富士原志奈

冷ややかやてのひらにとる化粧水
松枝真理子

母子手帳受けて大道夏兆す
森山栄子

朝顔の種折紙に包みけり
山﨑茉莉香

短日のまた読み返す手紙かな
吉田林檎