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江口井子句集『こゑに』(こえに)
2007/1刊行

万葉の世への愛とあこがれが、野の花のように咲き乱れ、ひとりの女性としての春秋が一途にうたわれる。1998年から2006年までの作品を収録した第2句集。

燈火親し「方丈記私記」ひもとけば
数珠玉やこの畦道が古代みち
春渚ジョニージョニーと少女が呼ぶ
かへるさの秋篠川の月明り
読初はこゑに茨木のり子の詩
独り身の気楽をいはれ燗熱し
母の忌や梅酒の琥珀色深め
触られてくすぐつたさう追儺鬼
横顔のをとめさびけり卒業歌
白菖蒲ほぐるる力もて揺るる

 

西村和子第四句集『心音』
2006/5/23刊行
(第46回俳人協会賞受賞)

第3句集以後、約10年間の作品400句を収めた第4句集。
紙風船息吹き入れてかへしやる
黒谷の松吹く雪となりにけり
水よりもつめたき蜆洗ひけり
囀のひと色にしてはなやげる
水音と虫の音と我が心音と

~あとがきより~
第3句集の後の10年間の作品から400句を収めた。
この10年の間に2人の息子が巣立ってゆき、父が逝き、33年間師事した清崎敏郎先生が亡くなった。行方克巳さんと共に「知音」を創刊し、14年間暮らした関西を離れ東京での生活が始まった。
様々なことがあった10年だったが、その時その時をもっとも鮮明に思い出させてくれるのが俳句だ。どれにも愛着があるが、

水音と虫の音と我が心音と

の一語をもって句集名とした。私にとって俳句とは、心音のようなものかも知れないと思うからである。
句稿をまとめた後、33年の春秋を共にした夫が他界した。私の人生のひとつの季節が終わってしまったことを実感している。

 

西村和子著『添削で俳句入門』
2006/1/25刊行

添削に学ぶ俳句づくり
上達のコツを大公開!

俳句に興味を持ち、俳句を作ったこともあるが、もっとよい作品にしたい。そんな俳句好きに贈る入門書。豊かな日本語を身につけよう、最初に感じたことを大切に、無駄を省く……など、よい作品を作る21のコツを、ベテランの俳人が実際の添削例をもとにやさしく解説する。

行方克巳・西村和子共著
『名句鑑賞読本 茜の巻』
2005/6刊行

俳句の実作と鑑賞とは表裏一体のもの。名句鑑賞を通して俳句の楽しさを説く。
正岡子規から石田波郷まで、著名俳人25名の代表句を個性的な二人の俳人が自在に鑑賞。豊かな実作体験をふまえて多様な読みの可能性を秘める名句の真髄に迫る。知られざる俳人の境涯も俳句読解の魅力である。

津田ひびき句集『玩具箱』
2005/3刊行

夜桜や嫁の仕事を打遣りて
貝の華とはピカソかな太郎かな
昼顔の幸せさうに泣きさうに
ふしだらという香水のあらまほし

玩具箱をひっくり返したように、きらきらしている、いつまでも子供の心を失わない大人の俳句集。

村地八千穂句集『知足』
2005/1刊行

初硯知足常楽筆太に
平らかに凍て滝壷を封じたる
さよならと踵かへせば花疲
子ら遠く夫亡く久し釣忍
深雪踏む彼方に希望持つごとく

生きている足跡を記した句集。80歳を期に、平成4~16年の作品を収録。

 

西村和子著『虚子の京都』
2004/10刊行
(第19回俳人教会評論賞)

「虚子は18歳で京都に遊学以来、終生、京都を愛し、小説「風流懺法」をはじめ、随筆、紀行文を残した。祇園から比叡山まで、著者は20年がかりで虚子の作品の現場と人間模様を追跡し、そこで繰り広げられたドラマを再現する。虚子研究に新生面を開く意欲作。」