長男の悩み聞きつつ長き夜を 氷岡ひより
「海へ パラソル句会合同句集」(2019年刊)より
客観写生にそれぞれの個性を
「海へ パラソル句会合同句集」(2019年刊)より
「海へ パラソル句会合同句集」(2019年刊)より
どぶ板を踏み抜きたりし梅雨の雷
梅雨出水代行バスの泥塗れ
水路静脈陸路動脈梅雨深し
梅雨明を待てずくり出す白帆かな
遮断機のぎくしやく上がり梅雨晴間
梅雨明の車窓いきなり海ひらけ
生ビール良妻賢母とうに捨て
鼎談ののちのビールの酔早し
大鯰にも逆鱗のありぬべし
夜も暑しまた積ん読に蹴躓き
水海月無為といふこと美しく
死がありて死後がありけり金魚玉
梨剥いてくるるばかりの母がゐて
蛙の子も七夕竹に出て遊べ
疣一つ二つゆゆしき残暑かな
何処も痛いところがなくて今朝の秋
大船鉾路地に降臨したりけり
井出野浩貴
梅雨深しきゆつきゆと軋む連結器
井内俊二
涼しさや火伏せの護符を重ね掛け
高橋桃衣
楚々としてビール一気に飲み干しぬ
松井秋尚
無駄足の一日の暮れてビール干す
影山十二香
みなとみらい増殖止まず梅雨晴るる
大橋有美子
夏炉の火はぜて将棋の駒の音
植田とよき
祗園祭いくさしのぎし婆娑羅掛け
小倉京佳
鉾建の縄屑掃くも誇らしげ
竹中和恵
もてなしの絵団扇のまづ配らるる
中川純一
無造作にひまはり抱へたる役者
原田章代
母怒らせてしまひけり母の日も
巫 依子
夏の月仰ぎ兜太の総入歯
羽深美佐子
夕立が並木通りを大掃除
河内啓一
さへづりに目覚め心の灯りたる
御子柴明子
老鶯やロッジの窓のすぐに森
中川純一
梅雨寒や姉妹で差せる母の紅
笠原胡桃
産直の味見一粒さくらんぼ
小野桂之介
見上げたる吉祥瑞雲像涼し
谷川邦廣
かろやかに白靴に追ひ越されけり
山田まや
今日の約束も昨日しなければならなかったことも、明日の予定もすべて反故にして、がむしゃらに草むしりをしている、というのである。どのような心境の変化が作者にこのような事態をもたらしたのかその事情は分からないが、よほどのことがあったのだろう。「うつちやり」という言葉が作者のやむにやまれぬ心のありようを如実に表している。
自分の傍らに眠っているこの男、どこまで父に似ているのかと思われるほどよく似ている。勿論それは顔などの容貌を言っているのではない。父親の持っていた嫌なところが全く同じなのだ。もしかして、この男と深い関わりを持つことになったのも、イヤだイヤだと思っていた父親との類似がかえって引き寄せられる原因だったのかもしれない。
枝豆に塩を振るのは普通のことであるが、その塩味が浜の匂いであるというところに、作者の郷愁のようなものが感じられる。浜辺に近い町で住んだ経験でもあるのだろう。
「海へ パラソル句会合同句集」(2019年刊)より
「知音 2018年1月号」より
「海へ パラソル句会合同句集」(2019年刊)より
「海へ パラソル句会合同句集」(2019年刊)より
「海へ パラソル句会合同句集」(2019年刊)より
「海へ パラソル句会合同句集」(2019年刊)より
「海へ パラソル句会合同句集」(2019年刊)より