議論一頻り熱燗冷めにけり
塙 千晴
「知音」2019年3月号 窓下集 より
客観写生にそれぞれの個性を
「知音」2019年3月号 窓下集 より
「知音」2019年3月号 窓下集 より
「知音」2019年3月号 窓下集 より
「知音」2019年3月号 窓下集 より
「知音」2019年3月号 窓下集 より
「知音」2019年3月号 窓下集 より
「知音」2019年3月号 窓下集 より
『句集 昆虫記』 角川書店 1998刊 より
『句集 自由切符』 ふらんす堂 2018刊 より
虚子ここに住みし証の露の石
草の花ここらも虚子の散歩道
色変へぬ松を誇れり五山二位
道場の墨痕難解無窻の忌
飛礫文字めく初鴨の十あまり
身に入むや無相無願に遠くして
なからひのほどもいつしか秋深し
秋深し思ひ至りし師の言葉
一瀑に億年添ひて滴れる
草の花十五の我に涙して
雑草といふ草々のもみぢかな
草の絮風のくちづけいやいやいや
千年の窯のほとぼり秋気澄む
寝転んで運動会の空青し
運動会赤んぼ手足ばたつかせ
素十忌や明鏡止水ならずとも
夜の森に呼ばるる思ひ夏休
井出野浩貴
覚えある声に振り向き銀座秋
くにしちあき
涼しさや畳廊下に足投げて
島田藤江
保険証忘れて戻る炎天下
中野トシ子
青りんご段丘縫うて千曲川
井内俊二
秋風や母の鉛筆みな小さく
高橋桃衣
野分あと波に被さる波の音
松井秋尚
花木槿一人はなれて下校の子
竹中和恵
岩の間を落ちて滑つて滝の音
岩本隼人
眼まだ生きてゐるなり背越鮎
吉田林檎
鮭帰り来る大いなる雲の下
中川純一
引鶴や昨夜より海荒れしまま
難波一球
秋暑し学生街のラーメン屋
國司正夫
夜の秋やエンドロールのみな鬼籍
清水みのり
吾亦紅希林ドヌーヴ同い年
下島瑠璃
ゆく夏の江戸千代紙の紺深し
島田藤江
浜の名をシャツに染め抜きサングラス
井内俊二
夏風邪のわがまま言はぬこと不安
菊池美星
ジュラルミンケースの弾く残暑かな
鴨下千尋
見かけない顔だと金魚上目遣ひ
小池博美
鮭の生涯で最も重要であり、かつ困難な世代の受け継ぎという大業をなしとげた彼らは力尽きて水際に浅瀬にその屍を浮かべる。つつつと這い寄って行くのは数多の蟹である。こうした食物連鎖があるからこそ、自然界の生物は命を継ぐことが出来るのである。一句、見たままを述べただけであるが、自然界の大きなテーマに迫るものがある。
鴨の一隊が北を指して帰って行く。鴨の行く手にはただ深い闇が横たわっているばかりである。どれほど大変な旅をしてでも、彼らは帰って行くのである。大自然の摂理に従うまでのことではあるが、また、そういう自然界の掟が崩れることは、地球環境の劣化につながることでもある。
最近地球上の多くの動植物が絶滅しつつあるという。その多くの原因はヒトの仕業による。
駅のホームにあるミルクスタンドである。私はこの句を読むなり思ったのはJRの秋葉原駅のそれである。かなり遠くの地域の牛乳がそこには並んでいる。なつかしい牛乳壜に直接口をつけて飲む牛乳はまことにうまい。