冬の雨母縮こまり猫丸まり
小池博美
「知音」2020年3月号 知音集 より
客観写生にそれぞれの個性を
「知音」2020年3月号 知音集 より
「知音」2020年3月号 知音集 より
「知音」2020年3月号 知音集 より
「知音」2020年3月号 知音集 より
ちつちやな秋ちつちやな秋ちつちやな秋の小走りに
浅知恵の恋のあはれや菊人形
抱かれてお夏菊師の意のままに
ハロウィンの南瓜のなかにされかうべ
ハロウィンの化粧崩れのやうな奴
禅寺丸鵜は唖々とばかり鳴き
柿博打渋い顔して笑ひけり
銃眼の三角四角柿の秋
廂間にけぶりたりけり小望月
待つ我に月人男とどまらず
実紫よべの月光浴びけらし
十六夜や雲の羽交に隠れつつ
十六夜の月よりの風かんばせに
久々に集ふ晴天小鳥来る
玻璃の楼積木の砦小鳥来る
小鳥来る天金の書に飾り文字
じやがいものよくぞ積まれし荷台かな
中川純一
親つばめ餌をやる口を迷はざる
井出野浩貴
今朝生れし蟬かじくじく鳴くばかり
高橋桃衣
白梅の万の蕾に心充ち
栗林圭魚
噴水の水が元気と男の子
田中久美子
秋さびし牛の黒眼に見詰められ
植田とよき
珈琲を挽く三伏の朝かな
藤田銀子
家路とは彦星と遠ざかること
吉田林檎
二人ゐて気怠き午後のカンナかな
石山紀代子
ゆで卵こつんと叩く秋意かな
米澤響子
昼顔や保健室では多弁とか
井出野浩貴
水澄むや川底浅く浮き上がる
松井秋尚
木雫の肩に項に涼新た
井内俊二
新涼の社にマウンテンバイク
小林月子
脈をとる指は三本秋の雨
天野きらら
芋虫に飛ぶなど思ひ寄らぬ事
井川伸造
そのひとつ夫の星なり星月夜
青木桐花
夏越会の痩せぽつちの猿田彦
島田藤江
裏山の裾を啄む鶉かな
山本智恵
仲秋の上野地階にゴッホの黄
吉田林檎
天気のよい日には燕は空高く舞い、あまりよくない時には低く飛び回ることは経験的にも知るところである。私の中等部のかつての同僚で故加藤一男さん(通称ワンマン)はすぐれた教育者であり、中等部では山岳部の顧問として長いこと生徒に親しまれた、いわゆる強持ての人で、授業もクラブ活動も厳しいことで知られていた。その加藤さんの著書に『お天気占い入門』があり、私ははじめて燕の飛び方の真実を知った。つまり天気がよくて高気圧の時は、燕の食物である羽虫の類が高く飛び、雨模様などの時は羽虫の類は低く飛ぶ。だから当然餌をあさる燕の飛び方も変わってくるというのである。この句の燕は湖面に映らない高さで飛んでいるというので、どちらの空模様に近いのかは分からないが、いずれにせよある高さ(それは水面に映らないほどの高さ)を飛び交っている、というのである。「うつらぬ高さ」というやや曖昧な表現で事実を描写した一句ということになろう。
美術館か古城などに掲げられた肖像画。描かれた女性は確かに美しいけれどどこかに冷たさを含んだ視線である。それが主人公の為人をストレートに伝えている。
昔の町村には「大字」と「小字」という区画名があった。この句、一つの字に同じ苗字を持った家が集まっているというのである。同族の人が一緒に移り住んで来たとか様々な理由はあるだろうが、今でもそういう土地がないわけではない。
「知音」2020年3月号 知音集 より
「知音」2020年3月号 知音集 より
「知音」2020年3月号 知音集 より
「知音」2020年3月号 知音集 より
「知音」2020年3月号 知音集 より