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島田藤江句集
『泥眼』
2019/5/3刊行
角川書店

第一句集から十五年。
自らの病を受けとめ、身内や知己の死を受け入れ、いよいよ研ぎ澄まされた五感。
ある時は聞こえぬ声を聴き、形なきものを透視し、記憶の層の深みへ読み手を誘う。書痴を自認する文学への愛と孤独に裏打ちされたしなやかな人生観と潔い美意識に貫かれた第二句集。
(帯より・西村和子)

◆西村和子選十句
鳥曇銀座に潮の匂ふとき
ひとところ暗き青春茅花噛む
春愁の魚の記憶身に潜み
かりがねの空ゆくさまに踊るかな
水影の紺潔し燕子花
海底(うみそこ)のものの声聴く良夜かな
底冷えのしたしたしたと曼荼羅図
時雨忌のわが机上なる曠野かな
小説の恋を封じて枯野駅
おでん屋の親爺無口で客寡黙