青木桐花 句集
『あるがまま』
2024/6/20刊行
朔出版
風鈴の清音散らす市の端
鬼灯市か草市か、端っこに風鈴の店が音をふり撒いている。
「清音」と聴覚で描写することで涼しさが体感にも伝わってくる。
老いていよいよ五感が研ぎ澄まされ、省略の技を極めた作者の
春秋の哀歓が籠められた作品集。
(帯より・西村和子)
◆第一句集
帯:西村和子
序:行方克巳
253頁
◆自選十二句
丹後路や簾越しなる機の音
余生とは残されしこと昼の虫
畳屋の乾かぬ砥石十二月
門火焚く手元見られてゐるやうな
鞆の浦沖より晴れて鱵干す
鉦の緒の小躍りしたり鉾囃子
火祭の火に煽らるる小競り合ひ
喉仏汗の光れる切場かな
薄氷に昨夜の風筋ありにけり
歩行器に足を掬はれ四月馬鹿
遠き日の夫とこの冬夕焼かな
散りがたのなごりを風のいとざくら
◆著者略歴
青木桐花(あおきとうか)
昭和7年11月 茨城県古河市に生れる
昭和58年 「琅玕」入会、岸田稚魚主宰に師事
平成1年 「欅」入会、大井戸辿主宰に師事
平成25年 「知音」入会、行方克巳、西村和子両代表に師事
平成30年 「知音」同人