行方克巳第五句集『阿修羅』
2010刊行
阿修羅像わが汗の手は何なさむ
うすらひや天地もまた浮けるもの
夜桜の大きな繭の中にゐる
神輿舁く男は拉げたるがよき
羅や氏より育ちされど氏
電線につながれて枯れ深む家
鯛焼は一寸泳がせてから食べる
蝌蚪群るるN極とS極とあり
はつなつや声をはだけて少女らは
憂国じゃ死をまぬがれず曼珠沙華
(自選十句)
客観写生にそれぞれの個性を
阿修羅像わが汗の手は何なさむ
うすらひや天地もまた浮けるもの
夜桜の大きな繭の中にゐる
神輿舁く男は拉げたるがよき
羅や氏より育ちされど氏
電線につながれて枯れ深む家
鯛焼は一寸泳がせてから食べる
蝌蚪群るるN極とS極とあり
はつなつや声をはだけて少女らは
憂国じゃ死をまぬがれず曼珠沙華
(自選十句)