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西村和子第四句集『心音』
2006/5/23刊行
(第46回俳人協会賞受賞)

第3句集以後、約10年間の作品400句を収めた第4句集。
紙風船息吹き入れてかへしやる
黒谷の松吹く雪となりにけり
水よりもつめたき蜆洗ひけり
囀のひと色にしてはなやげる
水音と虫の音と我が心音と

~あとがきより~
第3句集の後の10年間の作品から400句を収めた。
この10年の間に2人の息子が巣立ってゆき、父が逝き、33年間師事した清崎敏郎先生が亡くなった。行方克巳さんと共に「知音」を創刊し、14年間暮らした関西を離れ東京での生活が始まった。
様々なことがあった10年だったが、その時その時をもっとも鮮明に思い出させてくれるのが俳句だ。どれにも愛着があるが、

水音と虫の音と我が心音と

の一語をもって句集名とした。私にとって俳句とは、心音のようなものかも知れないと思うからである。
句稿をまとめた後、33年の春秋を共にした夫が他界した。私の人生のひとつの季節が終わってしまったことを実感している。